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「をかしいから笑つたのだ」
「射撃たつて、あれはクレーとかいふものを射つんでせう。わたしはね、他に何か的まとでもあるのかと思つたら、何のことはない、小さなカワラケの皿をね、かうひよつと機械仕掛けでとばしてね、――そいつを射つんでせう。なるほどうまい仕掛けにはちがひないが、見ているとあつけないもんですな。それに音だつてね、景気よくないんですよ。ボスツといふやうな音でね」
「よからう」
「相手は誰です?こゝの御隠居ですかい」
しきりにすゝめられたが、道平は縁側に出て、いつのまにか下していた着物の裾を又尻からげにかゝつていた。頑固といふほどではないが、その様子には円味のある手ごはさと云つた風なものが感じられた。
「おつ!こりあいかん」
「はあ!さう――ですね」
傷は三箇所を縫つた。
「ですが、何とも手のつけやうがない」
「おれはまだ一本立ちの医者といふわけにはいかない」
「なあんだ、まだ訴訟してるのか」
宿の者はこういっただけで、その以上の説明を加えなかった。伊助の報告もそれで終った。
ふいに、彼は頭を上げた。